リアルマニーの寅 (後編)
-前回のあらすじ-
NAOMI:あン時貢いだ金、一割でもプールしとけば何タイトルできたかなぁ。
キャシー:ごめんなさいね。
****1週間後*****
NAOMI:残念ですが、ノーマニーでフィニッシュです。
○山:わかりました。次、お願いします。
NAOMI:立ち直り早えーなオイ。何が駄目だったかちゃんと分析したぁ?
○山:過去は振り返りません!アグレッシヴが私の信条です。
NAOMI:もうちょっと値下げした方がいいと思うけどなあ。不況だし。
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NAOMI:いくらを希望しますか?
○山:○千万円です。
寅C:オイオイオイ大きく出たなあ。今時シューティングに○千万円かよ!
○山:NAOMIボードの性能を生かしたグラフィックを考えると、妥当な金額です!
ナレーション:必死に反論する男に、寅が牙を剥く。
寅C:それで、はどの程度あるの?
○山:は?
寅C:だーかーらー、とかとかとか、、、。
○山:ありません!硬派路線ですから。
寅C:ああ、そう。了解。それじゃ検討結果は1週間後に。
****1週間後*****
NAOMI:残念ですが、ノーマニーでフィニッシュです。
○山:すみません、次お願いします。工程見直して、開発費△千万円に削りましたから次は大丈夫だと思います。
NAOMI:金額だけの問題かぁ?、、、。
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寅D:
ククク・・・・・むろん・・・と言うか・・・・・・・言うまでもなく・・・・・わしは 持っておるっ・・・!
この業界の誰よりも・・・・・・・持っておるっ・・・・・・・!マニーをっ・・・・・!
に・・・ に・・・・・!に・・・・・・・・・!投資しておるっ・・・・!
ククク・・・・・ どこに鼠・・・・・株主の輩が潜んでおるか知れんから大きな声では言えんがそれぞれ・・・・・・・100億はくだらぬマニーを投資しておるっ・・・・・・・・・!
最近では・・・・・・・ゲームにばかりマニーを集中させるのもどうかと思い・・・・・しいたけ栽培にも投資した・・・・・ほんの50億ほどだったが・・・・・・・・・・・転ばぬ先のなんとやらだ・・・・・・・・・!常にリスクの分散は怠らないっ・・・・・・・!
黒服:ざわ…ざわ…
パチ…パチ… パチパチパチパチパチパチ
会長っ…!会長っ…!会長っ…!
○山:すみません、この人達怖いんで他紹介してもらえますか?
NAOMI:そうねえ。マニー出してもらってハズしたら指4本根元からざくりと持って行かれるかもねえ。キーボード打てなくなっちゃう。
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NAOMI:いやいやいや、ここ数ヶ月ですっかり燃焼したなあ。アミノ式?
○山社長:有限会社設立に伴うストレスの影響です。次の会社を。
NAOMI:もうねえよ。狭い業界の上、最近只でさえ数減ってんだから。
○山社長:そんな事言わずになんとか、、、このままだと野垂れ死にです。
NAOMI:もうシューティングはいいから速攻で軽いの一本作ればぁ?とかさあ。開発機材貸してやっから。
○山社長:前の会社で硬派シューティングが作れなくなったから飛び出して来たんです!僕のプライドが許しません!
NAOMI:バカモーーーーーン!!ピシッ!!
○山社長:オーノー!
NAOMI:甘えんな!とりあえず一本作って名前売れば、下請け仕事でも巡ってくるだろ。そうして金貯めて、硬派シューティングとやらを作ればいーじゃねえか。どこの世界でも一緒だろうけど、組織離れた個人がいきなり好きなモン作れる程、この業界甘くねえんだよ!!
○山社長:そうは言っても脱衣はやはり、、、
NAOMI:くどい!魂○羅の2Pキャラだってデビューはポルノ映画だったんだよ!プライドなんざ、「自称:クリエイター」名乗るまでに出世すれば、後からいくらでも持てるんだよ!大抵の場合、いくらにもならんがな。
○山社長:、、、、わかりました。ありがたく機材を借用していきます!
キャシー:おめでとうございます。開発機材成立です。
NAOMI:
本当におめでとうなのか微妙よねぇ。
******わりと早い○ヵ月後******
○山社長:できました。
NAOMI:早えーなオイ。(ひょっとしてこの会社、拾いモン?)
☆アソビン専任講師からのアドバイス☆
・身なりはきちんとしよう。社会人の基本だよ!
・当面の食い扶持は確保してから独立しよう。 極 ま っ た 状 態 で相談されてもこっちが困るぞ!
・最低限会社組織にしてから門を叩こう。得体の知れない一個人に数千万投資する奇特なお金持ちがいたらこっちが紹介して欲しいぞ!
・企画書はできるだけ豪華にしよう。ミスコピー用紙の再利用なんて論外だ。見た目のハッタリも重要だよ!
・ストーリーとか設定とか長々書かれても誰も読まないぞ。シンプルに見やすくしよう!
・過去の実績と経験は上記マイナス要素を全て払拭する。開発者諸氏は、己のスキルを磨いてから独立を考えよう!
・その場でこんな企画売れねえよ、と断るメーカーは少ない。万が一他メーカーから出てヒットした時、断った担当者の責任になるからだ。検討期間中に、営業やその他の部署に企画書を回し、連帯責任に持ち込むのが日本的企業の通例だ!
・今回はラッキーなケースだったが、持ち込む窓口を間違えると闇に葬られる。また、窓口担当者自身がここ最近ゲームなんざ触ってもいないヤツの可能性もある。持ち込み先の事前の下調べはしっかりしておこう!
・企画の不採用通知が書面で来た場合、持ち込む窓口が間違っていた可能性が高い。最近は改善傾向だが、電話一本ですむ事をわざわざご丁寧に文書化する上品な文化はアーケードにはあんまりないぞ!
・GGXの企画書受け取って紙ペラ1枚で断り入れたヤツ、まだ在籍してるなら小一時間問い詰めたいからNAOMIのトコまで出頭しろ。
*このお話のお上品な表現を望まれる方は「新・ゲームセンターを10倍楽しくする本」4月号をバックナンバーで買って「魂込め」コーナーをご覧下さい。一応、関連業種に対する義理から「買って読め」と書いておきますが、当方の本音は「立ち読みで浮いた金はゲーセンで使え」です。
*この業界の実際の寅達はそんなに言いません。勘違いするなよ。
*このお話は当たり前ですがフィクションです。苦情とかはグレフまで。つーか、NAOMIは「御社のHPの品位が下がるから掲載しないほうがいいよ」って、最初に言ったよーん。